
危険物乙4を受験予定の人にとって、物質の状態変化と水の性質は基礎中の基礎となります。
※物質の状態変化と水の性質は危険物乙4の「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の試験範囲です。詳しくは「危険物乙4の物理化学は難しい?過去問や覚え方・ポイントや計算問題は?」をご覧ください。
今回は日本トップクラスに危険物乙4を熟知している私カイトが、物質の状態変化と水の性質についてわかりやすく解説していきます。
「物質の三態」など重要用語が頻出なので、必ずチェックしておきましょう。
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温度と圧力
物質は温度や圧力によって状態が変化します。
物質の状態とは、固体・液体・気体のことを指します。
物質の状態変化について解説する前に、まずは物質の状態変化を左右する温度と圧力について理解しましょう。
温度
温度とは、物質の温かさや冷たさを表す尺度のことです。
温度には
- 摂氏温度(セ氏温度)
- 絶対温度
- 華氏温度(カ氏温度)
の3つがあります。
危険物乙4に必要な知識はセ氏温度と絶対温度なので、華氏温度(カ氏温度)の解説は本記事では割愛します。
セ氏温度とは、日常生活で使われる温度で、1気圧下での氷の融点を0℃、水の沸点を100℃としてその間を100等分したもので、単位は℃で表します。
絶対温度とは、シャルルの法則で、気体の体積が0になる温度(-273℃)を絶対零度とする尺度です。
※シャルルの法則については「危険物乙4:密度と比重・気体の性質をわかりやすく解説!試験頻出なので必見です」をご覧ください。
理論的にこれより低い温度は存在しません。単位はK(ケルビン)で表します。
絶対温度とセ氏温度の関係は以下のように表すことができます。
絶対温度=セ氏温度+273
セ氏温度と絶対温度は単位が異なりますが、℃であってもKであっても温度変化は同じです。
ただし、問題がどちらの単位で出題されているかによって、単位はそろえる必要があります。
圧力
圧力とは、単位面積当たりに働く力のことです。
単位にはパスカル(Pa)を用います。
標準大気圧の1気圧(atm)は1.013×105Paです。
気体の場合は、温度や圧力の変化によって大きく体積が変わります。
標準状態と常温常圧
0℃、1気圧の状態を標準状態といい、主に気体の体積を計算するときに用います。
また、一般には温度20℃、1気圧の状態を常温常圧といいます。
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物質の状態変化
上記でも解説した通り、物質の状態は通常、固体・液体・気体に分けられます。
この固体、液体、気体の状態を「物質の三態」といいます。
物質の三態間の変化を状態変化といい、三態は加熱や冷却によって、固体⇔液体⇔気体、または固体⇔気体のように変化します。
物質の状態変化には、融解、凝固、蒸発(または気化)、凝縮(または液化)、昇華があります。
これらの変化には必ず、熱の出入りが伴います。
熱の出入りには、吸熱と放熱があり、吸熱とは物質が熱を吸収することで、放熱とは物質が熱を放出することです。
物質の状態変化と熱の出入りを表にまとめると以下のようになります。
状態変化 | 変化 | 熱 | 熱の出入り |
---|---|---|---|
融解 | 固体が液体になる | 融解熱 | 吸熱 |
凝固 | 液体が固体になる | 凝固熱 | 放熱 |
蒸発または気化 | 液体が気体になる | 蒸発熱または気化熱 | 吸熱 |
凝縮または液化 | 気体が液体になる | 凝縮熱または液化熱 | 放熱 |
昇華 | 固体が直接気体になる | 昇華熱 | 吸熱 |
昇華 | 気体が直接固体になる | 昇華熱 | 放熱 |
以上の表からもわかるように、物質の状態変化のうち、固体から液体を経ずに直接気体になることも、気体から直接固体になることも昇華です。
どちらも同じ呼び方なのでご注意ください。
水の状態変化
水の状態変化には以下7つの性質があります。
1:氷(固体)の融解の開始から終了まで温度は変化しない。つまり、氷(固体)と水(液体)とが共存している間は温度が上昇しない。この一定の温度を融点という。
2:水(液体)から氷(固体)に変わる凝固でも、液体と固体が共存している間、温度は変化しない。この一定の温度を凝固点という。
3:水(液体)が蒸発するときも、沸騰して気化が続く間は温度が変化しない。つまり、水(液体)と水蒸気(気体)とが共存している間は温度が上昇しない。この一定の温度を沸点という。
4:水蒸気(気体)から水(液体)に変わる凝縮(または液化)では、気体と液体が共存している間、温度は変化しない。この一定の温度を凝縮点(または液化点)という。
5:同じ圧力のもとでは、同じ物質の融点と凝固点とは等しく、沸点と凝縮点(液化点)も等しい。
6:融解に必要な融解熱と、凝固に伴い放出する凝固熱は等しく、蒸発に必要な蒸発熱と凝縮に伴い放出する凝縮熱も等しい。これらの熱は物質の温度変化に現れず、状態変化のみに使われる。このような温度変化を伴わない熱のことを潜熱という。
7:融点や沸点などは、一定の圧力のもとでは物質に固有の値を示す。
蒸発熱
蒸発熱は、可燃性蒸気を発生する第4類の危険物と大いに関係があります。
1:蒸発熱とは、液体1gが蒸発するときに吸収する熱のことをいう。
2:同じ圧力のもとでは、沸点が低い物質ほど蒸発しやすく、わずかな蒸発熱(加熱)で沸騰する。蒸発熱の小さい第4類の危険物(引火性液体)では、わずかに加熱するだけで多くの可燃性蒸気を発生する。
沸騰と沸点
液体の表面から気化が起こる状態を蒸発というのに対し、液体の表面からだけでなく内部でも気化が起こる状態を沸騰といいます。
1:沸騰は、液体の温度(液温)が高くなり、蒸気の圧力(蒸気圧)が上昇して液体の飽和蒸気圧と大気圧(外圧)とがつりあったときに起こる。このときの液温を沸点という。
2:沸点は外圧(大気圧)の高低によって変化し、外圧が高くなれば(加圧すると)沸点も高くなり、外圧が低くなれば(減圧すると)沸点も低くなる。
飽和蒸気圧とは、見かけ上蒸発が止まった状態のときに、気体(蒸気)が示す圧力のことです。
単に蒸気圧といえば、飽和蒸気圧のことを指します。
潮解と風解
三態の変化ではありませんが、固体の変化には潮解と風解があります。
潮解とは、固体が空気中の水分を吸収して溶けることです。
風解とは、固体に含まれる水分が失われて粉末になることです。
溶解
固体が液体になるには、2つの変化があります。
1つは状態変化により液体になる場合、もう1つは別の液体に溶けて液体になる場合です。
物質(固体・液体・気体)が液体に溶けて均一な液体になることを溶解といい、その混合液体を溶液といいます。
溶けている物質が溶質、溶かしている液体が溶媒です。
食塩水の場合、食塩が溶質で水が溶媒となります。
特に溶媒が水の場合は水溶液といいます。
溶媒にどのくらいの溶質が溶けるかは溶解度で表します。
溶質が固体の場合は、溶液の温度が高くなると溶解度は一般に大きくなりますが、気体の場合は、逆に溶液の温度が高くなると溶解度は小さくなります。
また、水溶液の中で溶質が陽イオンと陰イオンになる現象を電離といいます。
食塩(塩化ナトリウム)のように、水溶液中で電離する物質を電解質といい、砂糖のように、水溶液中で電離しない物質を非電解質といいます。
電解質が電離した場合は、電離度で表します。
電解質の水溶液は電気を通しますが、非電解質の水溶液は電気を通しません。
水の状態変化を図2-1で確認しましたから、つづけて水の性質について解説します。
水(H2O)は、2個の水素原子と1個の酸素原子からなる化合物で、比熱や蒸発熱が大きい物質です。
水の体積と密度
水の場合、液体の水が凝固して氷(固体)になるときは、体積が増します。
体積が増すと、体積当たりの質量(物質の重さ)である密度は小さくなります。
水は、1気圧4℃のとき、体積が最も小さく、密度は最も大きく1g/cm3になります。
水と二酸化炭素
水も二酸化炭素も私たちの生活に馴染みがある物質です。
どちらも消火剤として高い有用性があります。
水(H2O)と二酸化炭素(CO2)は、有機化合物の完全燃焼の際に生じる物質で、どちらもそれ以上燃える(酸化される)ことはない不燃物です。
水の比熱と蒸発熱
水は他の液体と比べて比熱や蒸発熱が特に大きい液体です。
水の比熱は4.186J/(g・℃)で、蒸発熱が2,257J/gです。
これらの値は、水の温度を上げたり水蒸気にしたりするには大きな熱量を必要とすることを表しています。
逆にいえば、燃焼物から多くの熱を奪うことを意味しています。
つまり、水が冷却効果の高い消火剤として有効にはたらくことがわかります。
水の表面張力と界面活性剤
液体には表面をできるだけ小さくしようとする性質があります。
このとき働く力を表面張力といいます。
水滴が丸くなるのは、液体の表面張力によって表面積が少ない球形になろうとするからです。
液体の表面張力は液温が上がると低くなります。
水の表面張力はほかの液体に比べて大きく、これも水の性質の1つです。
表面は界面ともいい、2つの性質の異なる物質の境界面のことです。
2つの混じり合わない物質の間には必ず界面が存在します。
一般に、界面に働いて界面の性質を変える物質のことを界面活性剤といいます。
界面活性剤は、液体の表面張力を極端に小さくします。
水溶液の性質
水に食塩や炭酸カリウムなどの不揮発性物質(蒸発しにくい物質)を溶かすと、その水溶液の沸点は、水の沸点より上昇して(沸点上昇)沸騰しにくくなり、凝固点は、水の凝固点より下降して(凝固点降下)固体になりにくくなります。
また、水の温度を上げると、水溶液中の固体の溶解度は一般に大きくなります。
例えば、砂糖は氷水よりお湯によく溶けます。
しかし、二酸化炭素のような気体の場合は、水の温度を上げると溶解度は小さくなります。
以上
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