
今回は危険物乙4の物理・化学で出題される危険物の性質について解説していきます。
※物理・化学の詳細は「危険物乙4の物理化学は難しい?過去問や覚え方・ポイントや計算問題は?」をご覧ください。
危険物の性質では発火点や引火点・自然発火などの重要用語も登場するので、危険物乙4を受験する人は必ず理解しておきましょう。
ちなみにですが、危険物乙4にはたった10時間の勉強で合格できる方法があります。
これさえあれば限りなく少ない努力で合格に大きく近づきます。
これは私が5年以上も危険物乙4の研究を続ける中で生み出した、どの本にも載っていない超コスパの良い究極の勉強法です。
興味ある人はぜひ以下のボタンからその方法をチェックしてください。
燃焼範囲・引火点とは?
第4類の危険物と密接につながる危険物の性質が、
- 燃焼範囲
- 引火点
- 燃焼点
- 発火点
- 自然発火
などです。
そして、可燃性液体などの燃焼に最も関連するのが燃焼範囲と引火点です。
燃焼範囲
蒸発燃焼では、可燃性気体(可燃性蒸気ともいう)と空気が一定の割合で混合しているときに、点火によって燃焼します。
つまり、可燃性気体と空気との混合気体の濃度が薄すぎても濃すぎても燃焼は起こりません。
この燃焼する混合気体の濃度範囲を燃焼範囲または爆発範囲といいます。
可燃性気体の濃度が濃いほうを燃焼範囲または爆発範囲といいます。
可燃性気体の濃度が濃いほうを燃焼上限値(爆発上限値)といい、可燃性気体の濃度が薄いほうを燃焼下限値(爆発下限値)といいます。
燃焼上限値と燃焼下限値の間が燃焼範囲(爆発範囲)です。
燃焼範囲(爆発範囲)の下限値が低いほど、また、燃焼範囲(爆発範囲)の広いものほど危険性が高いといえます。
燃焼範囲は、可燃性気体と空気の混合気体全体に対する可燃性気体の割合を容量パーセント(vol%)で表します。
容量パーセント[vol%]=可燃性気体[L] / (可燃性気体[L]+空気[L])×100
引火点
液体から発生する可燃性蒸気が空気と混合し、点火源によって燃え出すのに十分な蒸気を発生するときの最低の液温を引火点といいます。
つまり、引火点とは、燃焼範囲(爆発範囲)の下限値の濃度の蒸気を発生する液温のことです。
引火性液体が燃焼しているとき、液温を引火性未満(燃焼範囲外)にすると燃焼しなくなります。
また、引火点では、点火源の炎を取り除くと燃焼はすぐに止みます。
<主な第4類の危険物の燃焼範囲と引火点>
気体(蒸気) | 燃焼範囲(爆発範囲)(vol%) 下限値~上限値 | 引火点(℃) |
---|---|---|
ジエチルエーテル | 1.9~36(48)※ | -45 |
二硫化炭素 | 1.3~50 | -30以下 |
アセトアルデヒド | 4.0~60 | -39 |
ガソリン | 1.4~7.6 | -40以下 |
ベンゼン | 1.2~7.8 | -11 |
アセトン | 2.2~13.0 | -20 |
メタノール | 6.0~36 | 12 |
エタノール | 3.3~19 | 13 |
灯油 | 1.1~6.0 | 40以上 |
軽油 | 1.0~6.0 | 45以上 |
※()内の数値で示されている資料もあります。
燃焼点・発火点とは?
物質が燃焼するときの温度には、引火点のほかに燃焼点や発火点があります。
それぞれの詳細は以下です。
燃焼点
可燃性物質の燃焼が継続するのに必要な濃度の蒸気を発生する温度を燃焼点といいます。
同じ物質であれば、燃焼点は引火点より高いといえます。
発火点
空気中で可燃物を加熱した場合、点火源がなくても自ら発火して燃焼を開始する最低の温度を発火点といいます。
発火点は、固体だけでなく、液体や気体にもあります。
発火点は、着火源がなくても燃焼が始まる温度なので、引火点や燃焼点よりも高いといえます。
<主な第4類の危険物の発火点>
物質 | 発火点(℃) |
---|---|
ジエチルエーテル | 160(180)※ |
二硫化炭素 | 90 |
ガソリン | 約300 |
ベンゼン | 498 |
アセトン | 465 |
メタノール | 464 |
エタノール | 363 |
灯油 | 220 |
軽油 | 220 |
重油 | 250〜380 |
*()内の数値で示されている資料もあります。
自然発火とは?
空気中で、酸化や分解などによって発熱し、その熱が長時間蓄積されることによって発火点に達し、点火源なしに燃焼することを自然発火といいます。
自然発火の原因となる発熱や蓄熱には、分解熱や酸化熱、吸着熱などがあります。
それぞれを以下の表にまとめましたので、危険物乙4を受験予定の人は覚えておきましょう。
<自然発火の原因と物質例>
原因 | 発熱のしくみ | 物質例 |
---|---|---|
分解熱 | 内部に酸素を含有している場合、分解により発熱する。 | ニトロセルロース、セルロイド |
酸化熱 | 徐々に酸素と反応し酸化され、蓄熱する。 | 乾性油、ゴム粉、石炭、油を含んだウェス、天ぷらの揚げかす |
吸着熱 | 表面積の大きい可燃物は、物質の吸着が起こると蓄熱する。 | 活性炭、木炭粉末 |
発酵熱 | 内部の微生物が発酵したり、腐敗したりするときに発熱する。 | たい肥、ゴミ |
重合熱 | いったん重合が開始されると、連鎖的に反応が進み、蓄熱する。 | スチレン |
自然発火が起こりやすい条件
自然発火が起こりやすい条件には、物質の熱伝導率や堆積状態、通風の良しあしがあります。
こちらの以下の表にまとめました。
<自然発火の起こりやすさ>
条件 | 蓄熱のしくみ |
---|---|
熱伝導率が小さい | 物質の熱伝導率が小さい場合、熱の移動が起こりにくくなるため、熱が蓄積されやすくなる。同じ物質でも粉末状や繊維状のもので隙間に空気を含んでいると見かけの熱伝導率は小さくなり、自然発火しやすい。 |
堆積状態 | 薄く拡げられていれば熱の発散はよくなるが、粉末状態のものを積み重ねて堆積された状態では内部に熱がこもり、自然発火しやすい。 |
風通しの悪い場所 | 風通しのよい場所では空気の流動により熱が運ばれて冷却されるが、風通しの悪い場所では冷却されないため蓄熱が進み、自然発火しやすい。 |
ちなみにですが、第4類の危険物の中で、自然発火について出題されることが多いのは、動植物油類です。
粉塵爆発・爆発範囲とは?
可燃性固体は、微粉末となって空気中に浮遊している状態で着火すると爆発を起こすことがあります。
これを粉塵爆発といいます。粉塵爆発は、可燃性気体の燃焼と同様に、粉塵と空気とが一定の割合で混合しているときに起こります。
これを爆発範囲といいます。
微粉末となった可燃性固体は、空気(酸素)との接触面が大きくなるため、粉塵爆発が起こりやすいといえます。
以上