
危険物乙4では計算問題が出題されますが、決して難しくはないので捨てるのはもったいないです。
本記事では日本トップクラスに危険物乙4を熟知している私カイトが、危険物乙4の計算問題を解くために必要な公式を一気にご紹介していきます。
また、過去問の難易度に近い計算問題の例題もご用意しているので、危険物乙4を受験予定の人はぜひ最後までお読みください。
※「危険物乙4の過去問・試験問題50問が無料!解説付き!PDFも配布!」もぜひ合わせてご覧ください。
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危険物乙4の計算問題を解くために必要な公式まとめ
まず前提として、危険物乙4では以下3つの分野から問題が出題されます。
分野 | 問題数 |
---|---|
危険物に関する法令 | 15問 |
基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 |
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 |
以上3つの分野のうち、計算問題が出題される可能性があるのは
- 危険物に関する法令
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学
の2つです。
「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」で出題される問題は以下のような知識問題のみで、計算問題が出題されることはありません。
【例題】
酸化プロピレンについて、誤っているものはどれか。1つ選びなさい。
- 貯蔵する場合は、不活性ガスを注入する。
- 無色透明の液体である。
- 引火点はマイナス37℃で、極めて引火しやすい。
- 重合する性質があり、その際熱を発生する。
- 水にまったく溶けない液体である。
【解答&解説】
正解は5・・・(答)です。
酸化プロピレンは水にはよく溶けます。また、アルコールやジエチルエーテルにもよく溶け、無色透明のエーテル臭のある液体です。
ここからは、「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」で出題される計算問題を解くために必要な公式をご紹介していきます。
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危険物に関する法令
「危険物に関する法令」の計算問題を解くためには、以下2つの公式・知識を頭に入れましょう。
- 指定数量
- 防油堤の基準
それぞれの詳細は以下です。
※「危険物乙4の法令の覚え方とポイントまとめ!過去問題40問付き!」もぜひ合わせてご覧ください。
指定数量
指定数量とは、危険物の危険性を考慮して政令で定める数量のことです。
※指定数量の詳細は「危険物乙4の指定数量とは?覚え方の語呂合わせと計算・倍数の問題付き」をご覧ください。
危険物乙4を受験する人は以下の表を必ず覚えてください。
<第4類の危険物の指定数量(政令別表第三)>
品名 | 水溶性 | 危険物 | 指定数量 |
---|---|---|---|
特殊引火物 | 非水溶性 | ジエチルエーテル、二硫化炭素 | 50L |
水溶性 | アセトアルデヒド、酸化プロピレン | 50L | |
第1石油類 | 非水溶性 | ガソリン、ベンゼン、トルエン、n-ヘキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン | 200L |
水溶性 | アセトン、ピリジン、ジエチルアミン | 400L | |
第2石油類 | 非水溶性 | 灯油、軽油、クロロベンゼン、キシレン、n-ブチルアルコール | 1,000L |
水溶性 | 酢酸、プロピオン酸、アクリル酸 | 2,000L | |
第3石油類 | 非水溶性 | 重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン | 2,000L |
水溶性 | エチレングリコール、グリセリン | 4,000L | |
第4石油類 | 非水溶性 | ギヤー油、シリンダー油、タービン油 | 6,000L |
アルコール類 | 水溶性 | メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール | 400L |
動植物油類 | 非水溶性 | ナタネ油、アマニ油(乾油性) | 10,000L |
<第4類を除く危険物の指定数量(政令別表第三)>
種別 | 品名 | 性質 | 指定数量 |
---|---|---|---|
第1類 | 第1種酸化性固体 | 50kg | |
第2種酸化性固体 | 300kg | ||
第3種酸化性固体 | 1,000kg | ||
第2類 | 硫化りん | 100kg | |
赤りん | 100kg | ||
硫黄 | 100kg | ||
第1種可燃性固体 | 100kg | ||
鉄粉 | 500kg | ||
第2種可燃性固体 | 500kg | ||
引火性固体 | 1,000kg | ||
第3類 | カリウム | 10kg | |
ナトリウム | 10kg | ||
アルキルアルミニウム | 10kg | ||
アルキルリチウム | 10kg | ||
第1種自然発火性物質および禁水性物質 | 10kg | ||
黄りん | 20kg | ||
第2種自然発火性物質および禁水性物質 | 50kg | ||
第3種自然発火性物質および禁水性物質 | 300kg | ||
第5類 | 第1種自己反応物質 | 10kg | |
第2種自己反応物質 | 100kg | ||
第6類 | 300kg |
防油堤の基準
二硫化炭素を除く液体の危険物を貯蔵し、または取り扱う屋外貯蔵タンクの周囲には液体の危険物が漏れたときの流出防止用に防油堤(ぼうゆてい)を設置しなければなりません。
防油堤に関する主な基準は以下の通りです。
- 防油堤の容量は、屋外貯蔵タンクの容量の110%以上とする。2つ以上の貯蔵タンクがある場合は、最大の貯蔵タンクの容量の110%以上とする。
- 防油堤は鉄筋コンクリートまたは土で造り、高さは0.5m以上とし、面積は80,000m2以下とする。
- 防油堤内に設置するタンクの数は、原則として10以下とする。
- 防油堤には、防油堤内部に溜まった水を外部に排水するための水抜口を設け、水抜口を開閉する弁などを防油堤の外部に設ける。
- 高さが1mを超える防油堤には、おおむね30mごとに防油堤内に出入りする階段を設置するか、土砂の盛上げなどを行う。
危険物乙4を受験する人は、以上で登場する数値(「110%以上」「0.5m以上」など)を暗記しておきましょう。
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基礎的な物理学及び基礎的な化学
「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の計算問題を解くために覚えておくべき公式は以下です。
※「基礎的な物理学及び基礎的な化学」について詳しく学びたい人は「危険物乙4の物理化学は難しい?過去問や覚え方・ポイントや計算問題は?」をご覧ください。
- 絶対温度とセ氏温度
- ボイルの法則
- シャルルの法則
- ボイル・シャルルの法則
- 熱容量
- 熱量
- 膨張後の体積
- 容量パーセント
それぞれの詳細は以下です。
絶対温度とセ氏温度
絶対温度=セ氏温度+273
セ氏温度は日常生活で使われる温度で、1気圧下での氷の融解点を0℃、水の沸点を100℃としてその間を100等分したものです。単位は℃で表します。
絶対温度はシャルルの法則(後ほどご紹介)で、気体の体積が0になる温度(-273℃)を絶対零度とする尺度です。論理的にこれより低い温度は存在しません。単位はK(ケルビン)を表します。
ボイルの法則
温度と湿度が一定の状態で、圧力P1、体積V1の気体を圧力P2、体積V2にした場合、以下の関係式が成り立ちます。
P1 × V1 = P2 × V2
シャルルの法則
圧力と質量が一定の状態で、絶対温度T1、体積V1の気体を絶対温度T2、体積V2にした場合、以下の関係式が成り立ちます。ただし、シャルルの法則で示す温度は絶対温度です。
V2 = V1 × T2/T1
ボイル・シャルルの法則
ボイルの法則とシャルルの法則をまとめてボイル・シャルルの法則といいます。
絶対温度T1、圧力P1、体積V1の気体を、絶対温度T2、圧力P2、体積V2にした場合、以下の関係式が成り立ちます。
(P1 × V1)/ T1 = (P2 × V2)/ T2
熱容量
質量m[g]の物質の比熱をc[J/(g・℃)]とすると、熱容量C[J/℃]は以下の式で表すことができます。
C=c × m[J/℃]
熱量
質量m[g]の物質の温度がt1[℃]からt2[℃]に変化した場合、この物質に出入りする熱量Q[J]を求める式は以下のようになります。
Q=C × (t2 – t1)=c × m ×(t2 – t1)[J]
膨張後の体積
温度上昇に伴い、固体や液体の体積がどれくらい膨張するかは以下の式で表します。
※元の体積をV0、体膨張率をα[K-1]とし、温度がt[℃またはK]上昇したときの体積をVとします。
V=V0 × (1+α×t)
容量パーセント
燃焼範囲は、可燃性気体と空気の混合気体全体に対する可燃性気体の割合を容量パーセント[vol%]で表します。
容量パーセント[vol%]=可燃性気体[L] / (可燃性気体[L]+空気[L]) × 100
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危険物乙4:過去問に似た計算問題の例題
ここからは、危険物乙4の過去問の難易度に近い計算問題の例題をご紹介します。
※「危険物乙4の合格率推移!難しくなった?難易度は?難しいから諦める人も?」もぜひ参考にしてください。
解答・解説も付けているので、ぜひ解いてみてください。
【計算問題1】
法令上、次の危険物を同一の場所に貯蔵する場合、指定数量の倍数の合計が最も大きい組合せはどれか。
- エタノール1,000L、ガソリン100L
- 灯油200L、重油3,000L
- 重油600L、アセトアルデヒド600L
- ギヤー油1,800L、ベンゼン50L
- ガソリン50L、軽油1,000L
【解答&解説】
正解は3・・・(答)です。
1〜5のそれぞれの危険物の貯蔵量を指定数量で割って得た指定数量の倍数を合計します。
1:エタノール1,000L/400L + ガソリン100L/200L =2.5+0.5=3[倍]
2:灯油200L/1,000L + 重油3,000L/2,000L =0.2+1.5=1.7[倍]
3:重油600L/2,000L + アセトアルデヒド600L/50L =0.3+12=12.3[倍]
4:ギヤー油1,800L/6,000L + ベンゼン50L/200L =0.3+0.25=0.55[倍]
5:ガソリン50L/200L + 軽油1,000L/1,000L = 0.25+1=1.25[倍]
【計算問題2】
同一の防油堤内に、重油500kL、軽油600kL、灯油300kLの3つの屋外貯蔵タンクを設置する場合、この防油堤の必要最小限の容量はいくつか。
- 600kL
- 650kL
- 660kL
- 680kL
- 700kL
【解答&解説】
正解は3・・・(答)です。
上記でも解説した通り、「防油堤の容量は、屋外貯蔵タンクの容量の110%以上とする。2つ以上の貯蔵タンクがある場合は、最大の貯蔵タンクの容量の110%以上とする」という規定があります。
よって、答えは600kL × 110%=660kLとなります。
【計算問題3】
3気圧で20Lの理想気体を容器に入れたところ、内部の圧力が12気圧となった。この容器の容積として、次のうち正しいものはどれか。ただし、理想気体の温度は変化しないものとする。
- 5L
- 6L
- 7L
- 8L
- 10L
【解答&解説】
正解は1・・・(答)です。
ボイルの法則より、求める容器の容積をVとすると、3 × 20=12 × Vが成り立つので、V=5[L]となります。
【計算問題4】
一定の圧力のもとで、27℃で600Lの気体を800Lにするには、何℃にすればよいか。正しいものを1つ選びなさい。
- 117℃
- 127℃
- 129℃
- 131℃
- 135℃
【解答&解説】
正解は2・・・(答)です。
求める温度をt[℃]とおくと、シャルルの法則より、600/300 = 800/(t+273)が成り立つので、t=127[℃]となります。
【計算問題5】
27℃、1.0×105[Pa]で1.8Lの体積を占めている気体がある。77℃において、この気体を3.0Lにすると、圧力は何Paになるか。正しいものを1つ選びなさい。
- 3.5×104[Pa]
- 3.5×105[Pa]
- 5.5×105[Pa]
- 7.0×104[Pa]
- 6.5×105[Pa]
【解答&解説】
正解は4・・・(答)です。
まずは27℃と77℃をKに変換します。
- 27+273=300[K]
- 77+273=350[K]
となります。
求める圧力をP[Pa]とおくと、ボイル・シャルルの法則より、(1.0×105 × 1.8)/300 = (P × 3.0)/350が成り立ちます。
これを解くとP=7.0×104[Pa]が求まります。
【計算問題6】
0℃で100gの物質に12.6kJの熱量を加えると、物質の温度は何℃になるか。ただし、物質の比熱を2.1J/(g・℃)とする。
- 50℃
- 60℃
- 70℃
- 80℃
- 90℃
【解答&解説】
正解は2・・・(答)です。
上昇後の温度をt2[℃]とすると、以下の式が成り立ちます。
12,600=2.1 × 100 ×(t2 – 0)
よって、t2=12,600 ÷ 210=60[℃]となります。
【計算問題7】
次の性質を持つ引火性液体が燃焼しない状態はどれか。
引火点-40℃、発火点約300℃、燃焼範囲1.4〜7.6vol%
- 蒸気4L、空気96Lの混合気体に点火した。
- 液温-20℃のときに炎を近づけた。
- 400℃の高温体に接触させた。
- 100℃まで加熱した。
- 蒸気を7L含む空気200Lに点火した。
【解答&解説】
正解は4・・・(答)です。
選択肢を順番に見ていきます。
1:可燃性蒸気4L、空気96Lの混合気体中の可燃性蒸気の容量パーセントは、4/(4+96) × 100=4/100 × 100=4[vol%]となり、燃焼範囲であることがわかります。
燃焼範囲の場合、点火すれば燃焼します。
2:点火源を近づけた場合、燃焼する最低の液温が引火点です。引火点が-40℃ならば、それ以上の液温-20℃のとき炎を近づけると燃焼します。
3:400℃の高温体を接触させると引火性液体も400℃まで加熱され、発火点約300℃を超えるため、点火源がなくても燃焼します。
4:この選択肢には点火源の有無の記載がありません。100℃は引火点を超えていますが、点火源がなければ燃焼しません。また、点火源がなくても加熱によって燃焼しはじめる液温は発火点です。この引火性液体の発火点は約300℃なので、約300℃まで加熱しなければ燃焼はしません。
5:選択肢1と同様に計算します。可燃性蒸気の容量パーセントは7/200 × 100=3.5[vol%]となり、燃焼範囲内なので燃焼します。
ちなみに、この引火性液体は第4類・第1石油類のガソリンです。

危険物乙4の計算問題は難しい?捨てるのはあり?
上記で紹介した危険物乙4の計算問題は、公式をしっかり覚えていれば簡単に解けることがお分かりいただけたかと思います。
受験者の中には計算問題を最初から捨てる人もいますが、危険物乙4の計算問題は全然難しくないので、捨てるのは非常にもったいないです。
危険物乙4の合格ライン(合格基準)は各分野の正答率が60%以上であることです。
つまり、危険物乙4の合格するには、
- 危険物に関する法令:15×60%=9[問]以上の正解
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学:10×60%=6[問]以上の正解
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法:10×60%=6[問]以上の正解
を叩き出す必要があります。
※危険物乙4の合格ラインの詳細は「危険物乙4の合格点・合格ライン・合格基準が一目でわかる!出題される問題例と合わせて解説!」をご覧ください。
危険物乙4は1問の重みが非常に大きいので、計算問題を捨てること自体が致命的になることもあります。
危険物乙4を受験予定の人は本記事でご紹介した公式などをしっかりと覚えた上で本番の試験に臨みましょう。
🔽 本にも載ってない極秘情報 🔽
今回は危険物乙4の計算問題について詳しく解説しました。
危険物乙4の計算問題は決して難しくありませんので、しっかりと対策をしておくことをおすすめします。