
今回は危険物乙4の物理・化学で出題される消火方法・火災の種類・消火器について解説します。
※物理・化学の詳細は「危険物乙4の物理化学は難しい?過去問や覚え方・ポイントや計算問題は?」をご覧ください。
危険物乙4で頻出である燃焼の基礎理論(燃焼の四要素)と消火の基礎理論は大いに関係するので、必ず関連させて覚えましょう。
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消火の四要素とは?
消火とはその名の通り「火を消すこと」、つまり、燃焼を中止させることです。
燃焼の三要素(可燃性物質、酸素供給体、点火源)のどれか1つを取り除けば、燃焼を止める(消火する)ことができます。
消火には、燃焼の三要素のそれぞれに対応して、除去消火、窒息消火、冷却消火があります。
この3つを消火の三要素といいます。
さらに、消火の4つ目の要素として、燃焼の継続に対応する燃焼の抑制を加えて、消火の四要素といいます。
燃焼の4つの要素に対応する消火の四要素を1つずつ解説します。
除去消火法
燃焼の四要素の1つ目、可燃性物質(可燃物)を取り去って消火する方法を除去消火法といいます。
たとえば、ガスの元栓を閉めて炎を消す、ろうそくの火に息を吹きかけて炎を消すことなどが代表的な除去消火法です。
窒息消火法
燃焼の2つ目の要素である酸素の供給を断って消火する方法を窒息消火法といいます。
アルコールランプの炎にふたをすることなどが代表的な窒息消火法です。
窒息消火では、次のような方法で空気を遮断します。
1:泡消火剤や粉末消火剤などで、燃焼している可燃物を覆い酸素を遮断する。
2:比重の大きいハロゲン化物(ハロン類)の気体で、燃焼面付近の酸素を置き換えて遮断する。
3:不燃性の二酸化炭素を放射して酸素を希釈する。酸素濃度を14~15%以下にすると燃焼は収まる。
4:小規模火災の場合、乾燥砂などで覆って酸素を遮断する。
ただし、可燃物の内部の酸素によって燃焼している場合は、窒息消火に効果はありません。
冷却消火法
燃焼物の温度を下げて、燃焼の3つ目の要素である点火源(熱源)となる熱を奪うことで消火する方法を冷却消火法といいます。
水の蒸発熱(気化熱)や比熱の大きさを利用した消火器は、冷却効果が高いといえます。
100℃における水の蒸発熱は2,257J/gと非常に大きく、可燃物から熱を奪う効果があります。
抑制消火法
燃焼の四要素の4つ目、燃焼の継続に対応するのは燃焼の連鎖反応を抑制する消火方法で、これを抑制消火法といいます。
ハロゲン化物消火剤であるハロン類に特有の負触媒作用を用いた消火は、抑制消火法の1つです。
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の4種類のハロゲン元素には、炭化水素の燃焼に対する消火効力があります。
ただし、ヨウ素は、沸点、腐食性、価格などに難点があり消火剤の成分として利用されていません。
火災の区分
火災が発生した場合は、火災の種類に適した消火効果のある消火器を用いて消火します。
不適切な消火器を用いた場合、被害が拡大することがあるのでご注意ください。
火災の種類に応じて使用できる消火器が異なることから、火災は以下の3つに区分されています。
1:普通火災・一般火災(A火災):普通可燃物(木材、紙、繊維など)の火災。
2:油火災(B火災):引火性液体(第4類の危険物)などの油の火災。
3:電気火災(C火災):電気設備(電線、変圧器、モーターなど)の火災。
消火器の表示
消火器には適応する火災のマークを付けることが義務づけられています。
A火災、B火災、C火災のそれぞれに適応する消火器の絵表示は以下の通りです。

消火器の種類
消火器には、水消火器、強化液消火器、泡消火器、二酸化炭素消火器、ハロゲン化物消火器、粉末消火器があります。
それぞれの消火器の消火効果、適応火災などは以下の表の通りです。
※適応火災の「△」は、霧状に放射する場合。
消火器の種類 | 消火効果 | 適応火災(普通) | 適応火災(油) | 適応火災(電気) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
水消火器 | 冷却効果 | 〇 | △ | • 水は比熱と蒸発熱が大きいため、高い冷却効果がある。 • 棒状放射は、普通火災にのみ有効。 • 霧状放射は、電気火災に有効。 | |
強化液消火器 | 冷却効果 抑制効果 | 〇 | △ | △ | • 再燃防止効果もある。 • 棒状放射は、普通火災にのみ有効。 • 霧状放射は、抑制効果により油火災、電気火災に有効。 |
泡消火器 | 冷却効果 窒息効果 | 〇 | 〇 | • 放出された泡の冷却効果と窒息効果により普通火災に有効。 • 二酸化炭素の泡が燃焼面を覆うため、窒息効果で油火災にも有効。 | |
二酸化炭素消火器 | 冷却効果 窒息効果 | 〇 | 〇 | • 酸素濃度を低下させる窒息効果がある。 • 電気の不導体であるため、電気火災にも有効。 | |
ハロゲン化物消火器 | 窒息効果 抑制効果(負触媒効果) | 〇 | 〇 | • 蒸気比重が大きいことから窒息効果により、また、ハロゲン元素の抑制効果(負触媒効果)により油火災に有効。 • 電気の不導体であるため、電気火災にも有効。 | |
粉末消火器(リン酸アンモニウムなどの無機化合物を使用するもの) | 窒息効果 抑制効果 | 〇 | 〇 | 〇 | • 薬剤が燃焼物を覆って留まるため、窒息効果と抑制効果がある。 • 電気の不導体であるため、電気火災にも有効。 |
以上の表からわかるように、第4類の危険物の火災(油火災)に有効な消火器は、霧状の強化液消火器、泡消火器、二酸化炭素消火器、ハロゲン化物消火器、粉末消火器の5種類です。
そのほかに、小規模火災ならば乾燥砂も使用できます。
泡消火器と二酸化炭素消火器の特徴
以上の表で示した消火効果などのほかに、泡消火器と二酸化炭素消火器には以下のような特徴があります。
泡消火器の泡には、燃焼面に粘着する、燃焼物より比重が小さいため石油類などの可燃性液体の表面を流動して広がる、熱や加水分解に対して安定している、消火後も燃焼物を長く覆う、といった長所があります。
また、一般の泡消火剤にエタノールのような水溶性の有機溶媒が加わると、界面活性剤がつくり出す泡の水膜を溶かすため泡が消えて効果がなくなるといった短所があります。
そのため、フッ素界面活性剤、気泡安定剤、水溶性高分子などを成分とする水溶性液体用泡消火剤(耐アルコール泡消火剤)が使用されます。
二酸化炭素消火器には、化学的に安定している、消火後の汚損が少ない、長期保存が可能である、といった長所があります。
しかし、酸素濃度を低下させるため窒息効果があるため、密閉した空間や狭い室内で使用すると、酸欠状態になり、人体に影響するといった短所があるため、取り扱いには注意が必要です。
油火災に不適切な2つの消火器
消火器の中には、使い方によって油火災の消火に不適切なものがあります。
危険物乙4を受験予定の人は以下の2つを頭に入れておきましょう。
・水消火器:第4類の危険物のような油火災に放射すると、比重が水より小さい油が水に浮いて炎が広がり、被害が拡大するおそれがある。
・強化液消火器:棒状に放射する強化液消火器は、流動性のある油類に放射すると、被害が拡大するおそれがあるため、油火災には使用できない。
以上
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